第十四章 蓮田岩守

 少年が目を覚ますと、鉱山の入り口に倒れていた。

それに気付いた飼い犬と姉が駆け寄ってきて、その後を父と母がやって来て。

ああ、僕は帰ってきたのだ。と、少年は少しだけ寂しい気持ちになった。

 

 それから十数年後。大人になった少年…… 今では青年だろう。青年が、友人と飼い犬と共に旅行で鉱山を訪れた。

 友人と飼い犬に資料館を見てもらっている間に、青年は今は閉鎖されている鉱山の入り口に立ち、 柵越しに奥へと向かって、けれども少し小さい声で挨拶をする。

「蓮田岩守さん、お久しぶりです」

 返事は無い。

けれども、柵のずっと向こう、光の届かない闇の中で、洋燈と黄色い外套が揺れるのが一瞬見えた気がした。

 

†fin.†